WONDERWALL

「NOT A HOTEL」は、世界的建築家やクリエイターが手がけるデザイン性と、IoT(Internet of Things)などのテクノロジーによる快適性を両立した、ハイエンドな別荘兼ホテル。東京・広尾にオープンした「NOT A HOTEL HIROO」を建築デザインから手がけた。１階のロビーライブラリー、３階から５階の１日１組のみ対応の宿泊施設、そして地階にはレストラン「白寧」が入る。

日本固有の空間のあり方を再解釈しながら、片山自身も影響を受けてきた西洋の感覚を融合したアノニマスなテイストでありながら、「東と西の融合」をデザインの軸に据えている。 建築は、東京の街に突然現れるモノリスのようなイメージの、杉板型枠工法で打設されたコンクリートの塊。一歩足を踏み入れると、窓が切り取る神社の緑の借景が日常の緊張感を開放し、リラックスできるライブラリースペースが広がる。３階のリビング・ダイニングエリアには、従来のラグジュアリーを象徴するオブジェクトやマテリアルは排除しつつ、職人の手わざでつくられる藤編みの壁面や木肌を見せながら墨色に塗りあげたフローリングなどのディテールがそこはかとない色気を醸し出す。４階は名栗仕上げの床を持つベッドルーム、そこから螺旋階段で繋がる５階には自然光が燦燦と入るバスルームを用意した。 環境を巧みに使いこなし、異なる役割の空間バランスを優美に整え、多様な人々を寛容に迎え入れ、包み込む場となっている。

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