外務省主導のプロジェクトJAPAN HOUSEは、日本への深い理解と共感の裾野を広げるための海外拠点。総合プロデューサー・原研哉氏の掲げた「日本の美意識を正確に伝える」という全体指針のもと、展示や物販、飲食等のスペースを備えた大型施設で世界の人々に日本の魅力を伝える。サンパウロ館、ロサンゼルス館、ロンドン館の3館があり、このうちのロンドン館のインテリアデザインをワンダーウォールが担当。ロンドン館は3層構成で、グラウンドフロアにショップとカフェスタンド、ファーストフロアにレストランとバー、ロウワーグラウンドフロアに多目的ホール、ギャラリー、ライブラリーを備える。
ショップやギャラリーで構成されるフロアのコンセプトは、日本の「床の間」。岡倉天心の述べた、他者が自由に入ることのできる何もない状態こそ万能であり肝要だという「虚」と「空」の概念(注1)、そしてブルーノ・タウトが桂離宮を構成するすべての部分の相互的関係に見出した「関係の様式」(注2)という2つのコンテクストに強いインスピレーションを受け、たどり着いたコンセプトだ。床の間の掛け軸や花が変われば部屋全体の印象が変わるように、そこにあるモノ、起こるコトによって場の魅力が変化する、日本らしい独特の性質を持つ空間を目指した。
(レストランのコンセプトは「JAPAN HOUSE LONDON | AKIRA Restaurant」参照)
注1:岡倉天心著「茶の本」参照
注2:ブルーノ・タウト著「日本美の再発見」参照
※本文中の階層表記は現地に準じる。日本では、ロウワーグラウンドフロア=B1F、グラウンドフロア=1F、ファーストフロア=2Fに相当。
Principal Designer: 片山正通
Project Designer: 坂巻陽平
The Stand
The Shop
Library
The Gallery
Multipurpose hall